2015年4月17日金曜日

4/17 「戦争立法」の危険と問題 ⑦

 海外で邦人がテロや騒乱、人質事件などに巻き込まれた際、自衛隊がその国まで出かけて「救出作戦」を遂行するための法整備もされようとしています。

 すでに自衛隊法には緊急事態時に海外の邦人を「輸送」する規定があります。航空機、艦船、車両へと範囲が順次拡大されてきましたが、実際の輸送は実績作りの1例を含む2例しかありません。

 「救出」は「輸送」に比べ、「武器の使用が想定される場面が多い」(3月13日配布の政府資料)とされるように、他国領土に踏み込む危険な任務です。

 政府は与党協議の場で、
 ▽大使館等の占拠
 ▽日本の航空機のハイジャック―といった人質事件への投入も想定。その場合、自衛官だけでなく人質の命も危険にさらされます。

 そもそも在外邦人保護は在留先の政府に一義的責任があります。退避が必要な場合は渡航情報などをもとに自主避難し、さらに緊急の場合は日本政府が民間機などをチャーターする方法もあります。

 政府は、自衛隊投入には▽その場で武力紛争が発生していない
 ▽領域国が治安維持にあたっている―の条件をあげており、自衛隊でなければ救出できない事例はほとんど想定できません。

 安倍晋三首相は、過激組織ISによる日本人人質事件で、1人の安否が不明の段階から、「自衛隊が持てる能力を十分に生かすことができない」(1月25日のNHK番組)などと事件を口実に法整備を主張してきました。

 しかし、自衛隊準機関紙「朝雲」(2月12日付)には人質救出の法整備に前のめりの国会の議論に、苦言を呈する異例のコラムが掲載されました。

 コラムは人質救出作戦の難しさをあげ、「国民に誤解を与える無責任な質問」と断じています。
 自衛隊元幹部は、在ペルー日本大使公邸占拠事件(1996年発生)の場合、相手の人数・配置・武器がわかり、地下トンネル掘削などの準備の上での成功だったと指摘。アルジェリア人質事件(2013年)では、現地情報に詳しい当事国軍隊でも失敗しました。

 逆に、法整備で自衛隊は「敵は殺して人質だけ救う」という最も困難な任務へ準備が迫られます。特殊作戦部隊の強化や海外での情報収集拡大といった「軍隊化」へ格好の口実となります。

 あらゆる口実で、強引に「戦争する国づくり」をすすめようとする安倍自民党政権を追い詰めるためには、この一斉地方選挙、区議会議員選挙での日本共産党躍進がなんとしても必要です。