「奥村あきこレポート」14号は、 「日本経済立て直しには、大企業にたまったお金を活用して、国内需要を増やすことだ」ということについて書きました。
日本経済最大の問題は、大企業の内部留保が貯まり続ける一方で、働く人の賃金は減り続けていることです。
1997年から2009年にかけて、大企業の内部留保は142兆円から244兆円に激増する一方、民間企業労働者の年間平均賃金は62万円も下がり、家計・内需が低迷して経済成長が止まった国になっています。
輸出大企業は円高で大変だといい、給与を抑え、派遣社員など安い労働力を増やし、下請けにはコストダウンを迫っています。しかし、円高はエネルギーや原材料などを、海外から安く買えるというプラスもあります。
内部留保を賃上げと雇用確保に活用するべきだとの主張は、財界系のシンクタンクからも出ています。
大企業には、労働者の給与を上げる余裕、新たな雇用を増やす体力はまだまだあります。
例えば、トヨタ自動車の内部留保は13兆2756億円。この0・49%を使うだけで、正規・非正規労働者を合わせた38万人に月1万円の賃上げが実施できます。
また、1%を取り崩せば、4万4千人を超える労働者を新たに雇用できます。
日本経済立て直しには、大企業にたまったお金を活用して、国内需要を増やすことです。
どうやって内需を増やすか?
財務省の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、お金をさらに増やすため「投資有価証券」に向かい、10年間で100兆円もの投資有価証券が増えていますが、雇用には回っていません。
その内部留保の活用には、
①賃金にかえる。雇用に回す。
②税金として払う。
③下請けに適正な工賃をはらう。
④大企業と中小企業の公正な取 引のルールをつくる
などの方法が考えられます。政府が、最低賃金を上げ、非正規雇用を原則禁止すれば、結果として賃金水準が上がり内需拡大が可能になります。
需要が増えれば、稼働率を上げるために次の工場をつくるなど、設備投資にもお金が向かうことになり、企業の経済活動も活発になります。
働く人=消費者です。働く人の懐をあたためて、物を買えるようにすること、消費を拡大していくことは企業にとってもメリットがあることです。自社製品を買える人を増やしていくこともにつながるのです。