2014年4月20日日曜日

4/20 「歴史を学んでいない政治家がこわい」 by伊集院静

 「しんぶん赤旗」日曜版4月20日号に、作家の伊集院静さんが登場しました。

 先月、出さされたエッセー集「許す力」(講談社)を書くにいたった、30年ほど前の人生の転機について語っています。

 当時、前妻・夏目雅子さんを癌で亡くし、自分が生き残っていることが許せず、酒とギャンブルで日々を過ごしていたとき、競馬場でヤンという男と出会いました。

 ヤンは朝鮮半島出身で、差別に苦しんだ少年時代、母と広島で被爆。日本人の死体を見て「いい気味だ」というヤンの頬を母がたたき、言いました。「皆苦しんでいるのよ。お前と同じ弱い人たちなのよ」。その母が、被爆による死を前に伝えたのは、憎い相手を許すこと。その話が伊集院さんに「許す力」を与え、「再生できた」と、いいます。

 自身も仙台市の自宅で被災してから3年、前の戦争や福島原発事故をふまえ、マスコミの責任を問います。

 「太平洋戦争中、新聞が大本営発表に従い『ビルマ戦線大勝利』などと書いた、そんな流れがいまの日本にはないか。公共の放送がどうあるかはとても大事なこと。
 秘密保護法案が出たとき、なぜすぐにマスコミは、この法案には問題があるといわなかったのか。
 新大久保でのヘイト・スピーチ(憎悪表現)も、なぜマスコミは早めに問題視しなかったのか」

 「集団的自衛権を法制化しようとする政治家は(戦争が何たるかを)知らぬどころか歴史をまともに学んできていない」

 「安倍さんの発言で驚いたのは、『戦後の国民は憲法による刷り込みをされてきた。戦後憲法で国民がマインドコントロールされてきた。戦後レジームからの脱却』と。あの発言は戦後の歴史をすべて否定することになる」

 時代の流れにも注意深く目配りをしています。