2014年11月11日火曜日

11/11 35人学級の維持を

 財務省が、現在行われている公立小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すよう文部科学省に求める方針を財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に示しました。

 小学校1年生の35人学級は、2011年に義務教育標準法が改正され、31年ぶりに学級編成基準が改善されたことにより実現しました。貧困の広がりや社会のゆがみの中で、困難を抱える子どもたちが増え、教職員の多忙化が深刻になる中、一人ひとりによりそった丁寧な教育を求める声の広がりを受け、広範な教育関係者と国民の長年の運動によって実現したものです。

 財務省は、小学校全体のいじめの認知件数や不登校、暴力行為の件数に占める小1の割合を、35人学級導入前の5年間と導入後の2年間について比較し、導入の前後でほとんど変わらないというデータを持ち出し、35人学級には「効果がない」と決め付けています。

 これはまったく根拠がありません。子どもの不登校や暴力行為には貧困や競争教育の影響などさまざまな要因・背景があり、学級人数の問題だけでとらえることはできません。しかも比較したのは導入直後のわずか2年間です。「効果がない」と結論付けるのは強引です。

 いじめの認知件数がやや増えたのは、むしろ学級の人数が減って教師の目が行き届くようになり、いじめが発見しやすくなった結果ではないかとの指摘もあります。「きめ細かな指導という意味で35人学級のほうが望ましい」(下村博文文科相)というのは国民共通の願いです。

 財務省の持ち出したデータは40人学級に戻す結論が先にあり、都合よく見えるデータを探し出してきたと思えるものです。財務省は「40人学級に戻せば、教職員4000人を削減でき、86億円を減らせる」と目先のことしか考えていません。

 日本の教育への公的支出のGDP比は経済協力開発機構(OECD)加盟国で5年連続して最下位です。段階的にOECD平均並み(約10兆円の増額)に引き上げる計画を持ち、少人数学級実施を位置づけるべきです。

 欧米では学級編成の基準は20~30人です。日本がやるべきことは、小1の35人学級の維持はもちろん、これを全学年に広げ、さらに30人学級へと前進させることではないでしょうか。