2014年11月5日水曜日

11/5 夏も冬も電力は賄えている

 安倍晋三政権が発表したこの冬の電力需給見通しで、北海道から沖縄まですべての電力会社の管内で、この冬も電力は賄える見通しになったことが明らかになりました。安倍政権はこの見通しにもとづき、冬の節電要請には数値目標を示さないことを決めました。

 東京電力福島第1原発の事故から3年8カ月、国内にあるすべての原発は運転を停止しています。原発は停止したままで「原発ゼロ」に進む条件がいっそう広がっています。

 先月末発表されたこの冬の対策によれば、これまでと同じような厳冬になっても、企業や家庭での節電などを織り込めば、すべての電力会社の管内で、電力の安定供給に最低限必要な需要と供給の予備率は3%以上を確保できるとしています。原発はすべて停止している前提です。原発依存度が高い関西電力と九州電力の予備率は3%ですが、北海道電力の予備率は11・4%、東京電力は7・9%などとなっています。

 政府はこの夏の電力需給見通しで、関西電力や九州電力の予備率は3%を下回るという見通しを示し、東日本から西日本への電力融通をおこなわなければ、電力が不足すると危機感をあおりました。全国の電力会社のトップを切って、九州電力の川内(せんだい)原発(鹿児島県)を再稼働させようと、原子力規制委員会の審査を急がせたのもそのためです。結果的に川内原発の再稼働は夏場に間に合わず、現在も運転を開始していません。しかし、九州電力を含め全国どこでも、この夏の電力不足は起きませんでした。九州電力の、この夏最も電力需要が多かった日でさえ、予備率は12・7%に達しています。

 政府はこの夏の見通しが外れたのは、猛暑でなかったためなどと説明します。確かに電力需要は気温などに左右されますが、政府がやるべきなのは危険な原発の再稼働の押し付けではなく、節電の呼びかけや安定したエネルギー源の確保のはずです。電力不足をあおって原発の再稼働を押し付けるやり方は、すでに破綻しています。

 この夏も冬も電力が賄えていることを認め、原発再稼働の強行はやめるべきです。不必要な原発の運転は危険性を高めるだけです。