2015年2月19日木曜日

2/19 自衛隊で「人質救出」ありえない

 今週の「しんぶん赤旗」日曜版には、日本国際ボランティアセンター(JVC)の代表理事・谷山博史さんが登場し、「中立・公平を貫いてこそ命守れる」と、安倍政権がすすめようとしている「邦人救出」のための自衛隊出動に疑問を投げかけています。

 JVCは1980年、カンボジア難民支援を機につくられました。同国では、大量虐殺をすすめたポル・ポト政権が70年代末に倒れ、同派を含む難民が隣国タイに逃げ、亡命政府のようなものをすくりました。

 その中でJVCは、内戦とポル・ポト派の支配で疲弊しつくしたカンボジア国内も含め、双方を支援し、対立する一方だけを支援すると、反対勢力から敵とみなされ、攻撃される危険を避け、いかに中立を貫くかに腐心した、と言います。

 ところが、安倍首相は、人道支援を対テロ戦争という政治的思惑に結び付けてしまいました。人道支援を本来の原則に基づき必死にやっているJVCにすれば、不用意な発言だった、と言いますが、その通りでしょう。

 今回の人質事件を追い風に、安倍首相は、集団的自衛権行使の閣議決定の具体化や、「邦人救出」のための自衛隊出動をやろうとしていますが、「自衛隊で『人道救出』などあり得ない」と防衛庁OBも言っており、政府との結びつきを押し出せば、不快な人もいるため、JVCは、現地で「日の丸」も掲げないほど、中立性に気を使うそうです。

 2011年にJVCのスーダン駐在代表が市街戦に巻き込まれ、現地勢力に拘束されたとき、国連はPKO部隊を派遣すれば戦闘に巻き込まれると、非武装の救援隊を派遣し、代表は助かったそうです。

 歴史的には、米国のアフガニスタン報復戦争(2001年)、イラク侵略戦争(2003年)を支持し、自衛隊を派遣してきた日本政府の対応までさかのぼり、検証することが必要です。

 戦争の混乱から、IS(イスラム国)のようなテロ組織が生まれ、拡大しました。

 安倍首相は「テロとたたかう国際社会で日本としての責任を毅然と果たしていく」「、イラク派兵も「適正な活動だった」と居直りますが、「戦争でテロはなくせない」ことが真の教訓です。

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