内閣府が発表した2015年10~12月期の国内総生産(GDP)の速報値で、物価変動を除いた実質で前期比0・4%減、これが1年間続いたとして計算した年率換算で1・4%減となったことが明らかになりました。
GDPのマイナス成長は15年4~6月期以来2四半期ぶりです。7~9月期は速報値でマイナスとなったあと確報値ではプラスとなったものの、実際には個人消費など内需の落ち込みを中心に、日本経済が長期にわたって低迷していることを浮き彫りにしています。
10~12月期の落ち込みの原因を需要項目別で見てみると、個人消費(民間最終消費支出)は実質で前期比0・8%減、民間住宅投資は同1・2%減と大きく落ち込み、民間設備投資は同1・4%増、公共投資は同2・7%減などとなっています。個人消費は実質GDPがプラスになった7~9月期でも0・4%の伸びにとどまっており、GDPの約6割を占める個人消費の低迷が、経済再生を遅らせていることは明らかです。
個人消費の低迷は暖冬など季節的な要因もありますが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」のもとでも賃金が増えず、一昨年4月の消費税増税の影響も長引いて、実質賃金が低下を続けていることが一番の原因です。
GDPをもとに算出した雇用者報酬で見ても10~12月期は前期比実質0・2%増と横ばいです。厚生労働省が先週発表した毎月勤労統計調査では、15年の実質賃金は前年比0・9%減と4年連続マイナスです。これでは消費は増えようがありません。
円安や株高、法人税減税で大企業がもうけを増やせば賃金も上がり、消費も増えるという「アベノミクス」ですが、大企業はもうけても内部留保をため込むばかりで賃金は上げず、雇用も増やすのは賃金の低い非正規雇用ばかり。これでは賃金も消費も改善しません。
日本銀行はさらに金融を緩和すると異例な「マイナス金利」の導入を決めましたが、円安・株高どころか、逆方向の円高・株安が進み、「アベノミクス」はますます行き詰まっています。だいたい経済が低迷しているのに、金融だけでてこ入れしようとしても無理があります。「アベノミクス」の中止と転換がなにより不可欠です。
①消費税10%増税の中止
②社会保障の削減から充実への転換
③人間らしく働ける雇用のルール確立
④環太平洋連携協定(TPP)から撤退し経済主権を回復する
この4点を実行し、日本経済の主力エンジンである家計を温め、国民所得を増やす経済政策への転換が必要です。