資本金10億円以上の大企業が抱える内部留保が301兆6000億円(財務省の2015年7~9月期法人企業統計、14年度は299兆5000億円)と過去最高に達しています。
一方、2014年の労働者の年間平均賃金は415万円(国税庁「民間給与実態統計調査」)。前年からの上昇はわずか1万4000円(0・3%)ですが、物価上昇が続くもとで実質賃金はマイナスです。安倍政権が発足した2012年からの3年間でマイナス4・8%(労働総研「2016年春闘提言」)と深刻です。
国公労連は『2016年国民春闘白書』をもとに、大企業の内部留保1%の活用による雇用増と、月額2万円の賃上げをするための内部留保の取り崩し率についての試算を3日までにまとめました。
試算では、内部留保の1%を雇用(年収300万円、1年間雇用)に回した場合、主要企業131社で、合計47万5000人の雇用創出が可能で、このうち11社では1万人以上の雇用が可能です。
個別企業でみると、トヨタ自動車が積みあげた内部留保18兆5766億円の1%で、約6万2000人を雇用できます。
正規従業員全員に月額2万円の賃上げ(ボーナス4カ月分を含めた年間必要財源32万円)するには、主要131社のうち94社で、それぞれ内部留保の3%未満を取り崩すだけで可能です。
経団連会長企業である東レの内部留保は7921億円。このうち1・85%を活用すれば月額2万円の賃上げができます。
非正規雇用労働者全員に月額2万円の賃上げ(年間必要財源は24万円)をするには、非正規雇用の人数がわかっている87社のうち83社で、3%未満の内部留保を活用すれば実現できるとしています。
大企業には月2万円などの大幅賃上げを実現する条件は十分にあります。大幅賃上げの実現こそ、景気回復の最大のカギです。