こうしたなか、製薬企業のカネと臨床研究や試験のあり方を考えるために日本高血圧学会が設置した「第三者委員会」の委員ら2人が、委員会が設置された直後にノバルティス社から計1500万円の寄付を受けていたことが8日、「しんぶん赤旗」の調べでわかりました。製薬企業と研究者との関係を議論する当事者への寄付は、産学のなれ合いの深刻さを示しています。
「しんぶん赤旗」が情報公開で入手した資料によると、委員とオブザーバー計7人のうち、委員の森下竜一大阪大学大学院教授(高血圧学会理事)が第1回会合直後の4月30日にノバ社から1000万円の奨学寄付を研究室あてに受けています。12月には、さらに300万円。
オブザーバーで参加した高血圧学会の堀内正嗣理事長(愛媛大学大学院教授)は、同年8月に200万円の寄付をノバルティスファーマ社から受け取りました。
堀内、森下の両氏は、医学情報誌にたびたび登場し、ディオバンを高く評価していました。
↑臨床試験をめぐる数々の不正が明らか になったノバルティス社=東京都港区(しんぶん赤旗より
※高血圧治療薬のデータ操作事件 他の薬より脳卒中や狭心症を防ぐ効果が優れていると誇大に宣伝したとして、薬事法違反の容疑でノバルティス社の元社員が6月、東京地検特捜部に逮捕さた事件。逮捕された元社員がデータ解析を担当した京都府立医大など5大学の論文は、データ操作の疑いが浮上し、4大学が論文を撤回しました。