2010年11月28日日曜日

11/28 日本の農林水産物は「開かれていない」?

 今、政府がさかんに「世界に乗り遅れるな。国を開け」と言ってTPP参加を進めようとしています。

 最近、街頭宣伝では、この「TPP(環太平洋連携協定)」について話しています。

 TPPに参加した場合、農水省の試算では、元々先進国のなかでも最低水準の日本の食料自給率は40%から13%にまで落ち込み、350万人の雇用が失われると試算されています。

 農作物が大量に輸入されるようになれば、日本農業は壊滅的な打撃を受け、農業に従事している人だけでなく、食料関連や輸送など幅広い業種で雇用が失われ、地域経済も崩壊します。

 政府は「日本の農林水産物は鎖国状態にある」といいますが、日本の関税率はもともと世界でも低い水準にあります。主要国の農作物の平均関税率と比べても、日本は11.7%とアメリカに次いで世界で2番目に低い水準です。

 日本の農林水産物は「鎖国状態」どころが十分に開かれています。この関税率の低さが、日本の農業が衰退した主な原因です。関税がゼロになれば、結局アメリカ、オーストラリアといった農林水産物の輸出大国に市場を明け渡すことになります。

 政府は、TPPの参加を「将来の雇用機会」のためとか、「日本の取り組みは遅れている」と主張していますが、これは輸出大企業の利益を最優先にした立場からの発言です。 

 TPP参加で利益を得るのは、輸出先の関税がゼロになった方がより儲けが増える、ごく一握りの輸出大企業だけです。実際にTPP参加を強く求めているのは、日本経団連、中でも自動車、電機などの輸出大企業です。工業製品の輸出が増えることによるGDPの伸び率は、政府の試算でもたった0.6%です。

 「食料は世界から買ってくればいい」という自由化の論理は、今、地球規模で見て食糧が不足しているときに、世界の流れに反しています。自国で農作物を作れる条件のある国は作るべきで、わざわざ自国の農業をつぶすというのは、世界の流れに逆行しています。

 つい2年ほど前にも世界的な食料危機で、食品や飼料の値上がりが大問題になりました。農作物は、天候に左右されます。投機マネーにより価格が高騰する危険もあります。食料を市場任せにするのではなく、「地産地消」「食料主権」が今、世界の大きな流れです。

 アメリカやヨーロッパでは、食料自給率100%は当たり前です。農家が安心して農作物を作れるように価格保障・所得保障を充実させ、むしろ関税は強化するべきです。市場原理にまかせ、でなんでも市場任せにするやり方をやめて、「食料主権」を保障する貿易ルールを作ることが必要です。

 これからも、TPP参加に反対し、「輸入に頼らず、安全・安心な食料は日本の大地から」と訴えていきます。