2013年8月23日金曜日

8/23 「ワタミの介護」もブラック企業?

 

 社員の過労自殺などを理由に弁護士らが選ぶ「ブラック企業大賞2013」で大賞を受賞した居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」。

 「しんぶん赤旗」日曜版8月25日号で、有料老人ホームなどを運営する「ワタミの介護」でも入所者の死亡事故が相次ぐなど、深刻な問題が続出していることが紹介されました。

 介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ」を全国90ヶ所以上に展開している「ワタミの介護」は、外食事業を上回るワタミグループ最大の営業利益を上げており、創業者は今回の参院選で自民党から立候補し当選した渡辺美樹氏。

 表面化した事故は以下の通り。
・女性入居者が入浴中に溺死(今年5月、大阪市)
・女性入居者が水死(昨年2月、東京板橋区)
・男性入居者が床ずれを悪化させ敗血症で死亡(06年、川崎市で)

 業務上過失致死容疑で警察が捜査しているものや、施設側に債務不履行と注意義務違反があったとして賠償が命じられるなどされているものなどがあります。

 赤旗編集部は、「ワタミの介護」が神奈川県内の施設が職員に配信した業務連絡メールを入手。表面化した上記の事故の他にも数々の事故が相次いでいる事実がわかりました。

・浴室で転倒、病院受診。頭頂部10針ホチキスで固定(11年10月21日)
・入浴時、手すりに顔面をぶつけ皮膚剥離で病院受診(同31日)

 わずか10日間の間に1つの施設で安全管理を問われかねない事故が相次いでいます。

 同施設は介護保険上にもとづく条例で、事故発生時には市町村などに連絡を行うよう定められていますが、自治体担当者によれば、第一報がなく本報告のみ提出されたケースや、第一報も本報告もないケースもあるそうです。これは重大な事故隠しにあたります。

 なぜ事故が相次ぐのか。

 背景にはブラック的な労働者の働かせ方があります。同施設で働く看護士は「夜勤明けのサービス残業が常態化していた」と明かします。疲れきった職員が入所者の口に食べ物をさじで突っ込んだまま寝ていた...こんな光景を強烈に覚えているそうです。

 赤旗編集部は同施設の今年7月の勤務表も入手。正社員9人の出勤日は25日前後。夜勤は2人が9回、5人が7~8回と非常に多い実態がわかります。

 職業安定法は、虚偽の広告、虚偽の条件提示で労働者を募集した場合に罰則を設けており(第65条8号)、それに抵触する可能性もあります。

 赤旗編集部の取材にワタミの広報担当は「事実確認をしている」と回答しています。