問題山積の築地市場「移転」計画が、いよいよピンチとなっています。
4月6日付東京新聞は1面で、移転先の豊洲につくられる新市場と一緒に計画されてきた商業・観光施設「千客万来」の整備計画がピンチに陥っていることを報道しています。
先客万来施設を整備・運営する予定だった2社のうち1社の「大和ハウス」が、今年2月に辞退したことに加え、もう1社の「喜代村」(「すしざんまい」を展開)も計画断念を視野に検討していることが分かりました。
3月までに予定されていた着工のメドは立っておらず、来年11月の豊洲新市場との同時開設は困難になっています。
2001年に東京都が築地市場の豊洲移転を決定してから14年。
かつて東京ガスの工場があった新市場予定地では、環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出されるなど深刻な土壌汚染が判明し、対策工事費や建物建設費など整備費全額に莫大な都民の税金が使われてきました。
整備費全体の試算は4年前の3926億円から、2015年3月には5884億円に膨らんでいます。
内訳は、
建設費 2752億円
土壌汚染対策費 849億円
その他関連工事費 424億円
用地取得費 1859億円
計 5884億円
豊洲新市場の物流、施設運用の計画にも、「大幅に足りない駐車スペース」「週1回程度の低頻度利用の買い出し人用の駐車場」「青果部~水産部間の荷の搬送」「加工・パッケージ施設と市場機能の連携」「徒歩での買い出し客への対応」などなど、解決しなければならない課題も山積しています。
公共交通機関によるアクセスが「ゆりかもめ」しかないことや、環状2号線の「仮設ルート」使用の場合の交通渋滞などの問題もあります。
また、土壌汚染対策法で定められた2年間の地下水モニタリングを終える前に、建設工事に着手し、工事と同時並行でモニタリングが行われる中、昨年11月の調査結果では、ベンゼンが調査場所の48%で、ヒ素が74%で検出され、基準値以下とはいえ、深刻な結果となっています。
今年2月に「守ろう!築地市場パレード実行委員会」実施のアンケートでは、「豊洲新市場の施設に業者の意見が十分に反映されているか」との問いに「反映されていない」が約9割、「オリンピックのために移転の強行など本末転倒である」と考える業者は73%、「本当のところ、あなたは築地と豊洲、どちらで営業を続けたいですか」との問いには「築地」が86%という結果でした。
都が、東京五輪に間に合うようにと強引に計画を進めようとすれば、問題はさらに深刻化し、計画破たんするのではないでしょう。
中央区で、「移転断固反対」の旗を降ろした矢田区長に代わり、田辺七郎区長を誕生させ、築地市場現在地再整備をすすめることが、行き詰った豊洲新市場計画を打開する現実的な対応ではないでしょうか。
↑豊洲では建設工事がすすんでいますが...。(1月19日撮影)