2010年8月12日木曜日

8/12 お芝居「アンポ丼」

 「安保体制打破 新劇人会議」発足50周年企画のお芝居「アンポ丼」を、なかのZEROホールに見に行きました。

 「安保体制打破 新劇人会議」とは・・・1960年、日米安保改定にあたって、自由な演劇創造活動への影響を感じとった当時の演劇人によって結成されました。以後50年にわたり、平和と民主主義、言論表現の自由のために演劇人らしい活動をともにすることを掲げて、様々な活動に取り組んでいます。

 「アンポ丼」は二部構成で、ともに日米安保について考えさせられる内容したが、第二部の『茶色の朝』がとてもよかったです。ピアノの楽曲もすばらしかったです。

 『茶色の朝』 とは・・・2002年春、フランスの大統領選で極右政党・国民戦線の候補が決選投票に躍り出ました。そんなとき、自分たちの未来を考えようとするフランスの人々に読まれてベストセラーとなったフランク・パヴロフ著『茶色の朝』を、ピアノの演奏と語りで綴る音楽朗読劇でした。

 かつてナチス・ドイツに侵攻された歴史を持つ欧州の人々にとって、初期のナチス党の制服の色・茶色はナチズム、ファシズムの象徴で、ヨーロッパで台頭してきた極右運動への危機感を覚醒させたそうです。

 『 ...毛が茶色以外の犬猫を飼ってはいけないという法律が政府によってつくられた。主人公と友人は、それぞれ茶色ではない飼い犬と飼い猫を、胸を痛めながらも処分する。その後、この法律を批判した新聞が廃刊となり、この新聞社系の出版物も街から消える。街からは茶色以外のものは消え、「茶色に染まること」に違和感も感じなくなる。「茶色に守られた安心、それも悪くない」と流れに順応していき、「規則を守ってるんだと安心」さえもするようになる。主人公と友人は茶色の犬と猫を飼い始め、街の人はあらゆる言葉に「茶色」という修飾語をつけて会話をするようになる。ところが突然、友人が「かつて飼っていたのは黒い犬だった」という理由で国家反逆罪で逮捕されてしまう。主人公もかつて白に黒ブチの猫を飼っていた。「自分もいずれ...」。茶色以外のものの取締りが行われるようになった時、違和感を感じたのに、何も行動を起こさず、全体主義に染まってしまった自分。「なんでそのとき抵抗しなかったのか。でもどうやって...?」。やがて、主人公の家のドアをノックする音が聞こえ...』

 この単行本にメッセージを寄せているのは、東京大学大学院教授の高橋哲哉さん。高橋さんは、「私たちのだれもがもっている怠慢、臆病、自己保身、他者への無関心といった日常的な態度の積み重ねが、ファシズムや全体主義を成立させる重要な要因であることを、じつにみごとに描き出している」と述べています。

 高橋哲哉さんは、私も実行委員のひとりである「平和プラザ2010~平和をねがう中央区民の戦争展」(今年3月に開催されました)で、「沖縄の基地問題から平和を考える」という講演をしてくださった方でもあります。

 「平和プラザ2011」も、来年3月に月島社会教育会館で開催予定です。実行委員を随時募集しています。『茶色の朝』は日本にも無縁の話ではありません。

 「平和プラザ」の実行委員となって、一緒に小さいながらも行動の一歩を踏み出しませんか?