65年目の原爆の日、広島で平和記念式典が開かれました。
藩基文(パン・ギムン)国連事務総長が国連のトップとして初めて参加しました。
核保有国としてロシア、中国のほか、今回初めて米国ルース駐日大使やフランス、イギリスの政府代表も初参加するなど、過去最多の74カ国の政府関係者が出席しました。
今年の原爆の日は、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議での「核兵器廃絶行動計画」への合意や、米国とロシアの「戦略核兵器削減条約調印」など、新たな進展があったなかで迎えました。
昨年4月、プラハでオバマ米大統領が「核兵器のない世界をめざす」と宣言したもと、核兵器廃絶にむけた国際的なの機運が高まっています。
藩基文(パン・ギムン)国連事務総長は式典のあいさつで、「この機運を保たなければならない。被爆者の方々が生きている間に、その日を実現できるよう努めよう」と核兵器廃絶の早期実現を呼びかけ、「核兵器が存在する限り、私たちは核の影におびえながら暮らすことになる。核廃絶以外に世界をより安全にするための分別ある道はない」と語りました。
秋葉忠利・広島市長は「平和宣言」を読み上げたあと、「今こそ日本政府の出番です」とし、核兵器廃絶にむけて先頭に立つために、「非核三原則」の法制化と、「核の傘」からの離脱、「核兵器禁止条約締結の音頭をとる」ことを日本政府に求めました。
しかし、菅直人首相は「核抑止力は引き続き必要」と述べ、核兵器廃絶を願う世界の世論に背を向けています。 核兵器を持つことで戦争を抑止できる、とする「核抑止論」しかし、現実に戦争もテロも核兵器も抑止できてはいません。他国の安全を脅かすことで、自国の安全は得られません。
核保有国の米国でも、キッシンジャー元国務長官や、シュルツ元国務長官らが、ウォールストリートジャーナル紙に共同執筆「核のない世界」という記事を掲載。「核兵器は今の時代には有効ではなく、テロリストに使用される危険性も考慮するなら廃棄すべき」と主張するなど、いまや、「人類と核兵器は共存できない」という声が世界でも圧倒的です。核兵器廃絶の緊急性は、世界に浸透し始めています。
被爆者の方々を先頭にした世界諸国の世論と運動こそが、「核兵器 のない世界」への流れを前に進める最大の推進力です。
私が、一昨年(広島)、昨年(長崎)と続けて参加した「原水爆禁止世界大会」も、今年5月の「核不拡散条約(NPT)再検討会議」ニューヨーク行動も、核廃絶にむけて大きな後押しになったと確信しています。
国連、各国政府、自治体、世界の反核NGOとの共同こそ、未来を開く大きな力になります。