2014年11月13日木曜日

11/13 労働者派遣法廃案へ

 自民党、公明党の与党が今週中にも労働者派遣法改悪案の衆院厚生労働委員会での採決を強行しようとしていた労働者派遣法改悪案の廃案が12日、事実上決まりました。

 有期労働者が無期雇用になる権利を通算5年から「最大10年」に先のばしする有期雇用特措法も廃案となります。

 労働組合の枠を超えた国民共同の反対運動と、国会でも野党の共同が広がるなか廃案に追いこみました。

 労働者派遣法改悪案法案は、雇用が不安定な派遣労働を「臨時的・一時的」な利用に限るとしてきた歯止めをはずし、恒常的な利用へと根本的に変えようとする内容です。

 法案審議は、前提が崩壊してまともな審議ができない異常事態となっていました。
 

 たとえば法案の焦点がまるで逆です。正社員を派遣に置き換えることを防ぐために「臨時的・一時的」な利用に限るとしている派遣労働の原則をなくすのが法案の最大の問題点です。ところが塩崎氏の衆院本会議での趣旨説明は「派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置づけることを原則とする」と、耳を疑う内容でした。質疑で事実を突きつけられても原稿をオウム返しに読むだけでした。
 

 どんなに塩崎氏が居直ろうとそれを裏付ける記述は法案のどこにもありません。与党の公明党が本会議のあと、突如、この原則を法案に盛り込む修正案を出して審議が混乱した一幕(修正案はその後撤回)をみてもあきらかです。
 

 また、法案は派遣受け入れ可能期間を3年としていますが、労働組合などの意見聴取、反対意見にたいする説明をすれば延長できるとしています。意見を聞き、説明さえすればいつまでも派遣を使える抜け穴規定です。
 

 ところが塩崎氏は、もし労働組合が反対一色だったのに、企業が無視して派遣を継続させたときは労働局が指導するのは当然だと、抜け穴をふさぐような答弁をしました。本来からいえばこれが正当であり常識です。しかし法案は常識が通用しないものです。あわてた厚労省が翌日、答弁を訂正する文書を衆院厚労委の理事懇談会に提出する騒ぎになりました。
 

 安倍首相は、派遣労働者の正社員化をすすめるために、派遣会社にキャリアアップ支援を義務付けると何度もくり返しています。これも、キャリアアップのための教育訓練ができるような体制がある派遣会社はほとんどありません。月に1回、パソコン教室を行うだけで義務をはたしたことになるのかという質問に、首相も大臣も答えられませんでした。実効性はどこにもありません。

 正社員を切って、雇用が不安定で低賃金の派遣労働を無限に広げる労働者派遣法の改悪に、
日本共産党は「欠陥法案は廃案以外にない」と批判し、世論と運動が国会内外で広がったことが、廃案という結果を生み出しました。

  「雇用は正社員が当たり前、派遣はあくまで例外」。人間らしい働き方ができる社会を、ご一緒につくりましょう。